道路運送車両法により、車検証は車載義務が定められているため、紛失される機会は少ないと思います。しかし、車上荒らしや車両盗難により車内を荒らされてしまったり、自然災害で冠水被害に遭うなどして、結果として車検証が汚損したり紛失してしまうということは事例として発生しています。
令和6年から軽自動車も電子車検証化が始まり、電子車検証を交付された人も増えていますが、もし電子車検証を紛失してしまったら再発行はどうすればいいのでしょうか。こちらでは車検証再交付申請手続きに必要な書類と手順について説明します。

車検証を紛失したらどうなる?
もしも車検証を紛失してしまったり、汚損・破損によって記載内容の確認ができない状態になってしまった時、そのままその車を使用し続けても問題はないのでしょうか?
車検証を車載せずに運転をすると法律違反になる
道路運送車両法(自動車検査証の備付け等)第六十六条
自動車は、自動車検査証を備え付け、かつ、国土交通省令で定めるところにより検査標章を表示しなければ、運行の用に供してはならない。
車検証は、道路運送車両法によって車載が義務付けられている書類です。車検証を車載していないと道路運送車両法違反となり、第百九条の罰則で五十万円以下の罰金に処される可能性があります。
自動車検査証記録事項とは
令和5年1月から普通自動車の車検証が電子車検証化し、令和6年1月から軽自動車の車検証が電子車検証化しました。車検証に比べて電子車検証は媒体のサイズが一回り小さくなっており、券面上で確認できる情報が減少しています。特に更新する度に変更が加わる内容については、電子車検証についているICデータ内に格納されたため、券面では確認ができなくなりました。データを読み取る装置を操作することで情報自体は確認可能ですが、スマートフォンやパソコン等での操作を苦手とする方も多いことから、電子車検証を発行する際、券面で確認できない情報を印刷した「自動車検査証記録事項」が令和7年12月まで同時に交付されることになっています(検査手続きを除くと2027年末まで交付)。この自動車検査証記録事項については情報確認がしやすい書面ではあるものの、車検証としては認められていません。
車検証情報をすぐに見れることから車の手続時は所有者確認にも活用できる「自動車検査証記録事項」ですが、もしも記録事項を失くしてしまったら、再交付できるのでしょうか。
電子車検証の代わりに紙面タイプで車検証の情報を確認できる自動車検査証記録事項は、車検証閲覧アプリから印刷データ(PDF)をダウンロードすることが可能になっていますので、ダウンロード後印刷が可能です。特に証書としての効力を持たず、内容を確認をするための書類になりますので、紛失が心配という方は複数枚印刷しておいても問題ありません。また、自宅等でプリントアウトすることが難しいという方は、運輸支局にあるデータ読み取り機から印刷しておくことができるようになっています。
車検証の再交付に必要な書類

車検証を紛失してしまった時、車検証再交付申請は使用の本拠の位置を管轄する運輸支局または軽自動車検査協会で行いますが、再交付申請するために揃える書類について紹介します。
普通自動車の車検証再交付必要書類
項目 | 概要 |
---|---|
本人確認書類(提示のみ) | 運転免許証・マイナンバーカード・在留カード・特別永住者証明書、その他法令の規定により交付された本人確認できる書類のいずれかを用意 |
自動車検査証(車検証) | ・き損もしくは識別困難になっている場合は、元の車検証を提出する必要がある ・盗難紛失時は盗難届出を行う |
自動車検査証再交付申請書 (OCR申請書第3号様式) | ・運輸支局の窓口で手続きの当日取得 ・再交付を受ける理由を【請求の事由欄】に記載 ※盗難の場合は盗難届受理番号と警察署名、届出日を記入 |
手数料納付書 | ・運輸支局の窓口で手続きの当日取得 ・費用分の印紙を購入し貼り付け ・キャッシュレス決済の場合は記入のみ |
※使用者の委任状 | ※代理人申請をする場合のみ ただし使用者の記名が申請書にあれば委任状は不要 |
軽自動車の車検証再交付必要書類
項目 | 概要 |
---|---|
自動車検査証再交付申請書 (軽第3号様式) | ・軽自動車検査協会事務所の窓口で手続きの当日取得 ・再交付を受ける理由欄に理由を記入 |
自動車検査証(車検証) | き損もしくは識別困難になっている場合は、元の車検証を提出する |
※申請依頼書 | ※使用者以外が手続きを代理で進める場合のみ申請依頼書を提出する |
2021年以降は行政手続きにおいて押印の不要化(廃止)が進んでおり、使用者もしくは申請者本人確認できる書類の提示のみで手続きを進めることが可能になっています。
車検証再発行の手順
こちらでは、車検証の再発行の手順について詳しく解説します。事前に前述した必要書類を揃えることができたら、車の使用の本拠の位置を管轄する運輸支局または軽自動車検査協会で再交付申請を行います。
普通自動車は令和5年1月から、軽自動車は令和6年1月から電子車検証の交付を始めており、車を所有されている方の中にはすでに車検時に電子車検証へ変わったという方も増えているかもしれません。基本的に紙面タイプ・電子車検証タイプのどちらの車検証を紛失したときも、再交付の方法は同じになっています。
必要用紙の配布を受ける
車検証の再交付申請をするには、まず申請書を取得する必要があります。運輸支局(または軽自動車検査協会)の窓口で、必要な用紙の配布を受け取ります。
普通自動車:自動車検査証再交付申請書(OCR申請書第3号様式)、手数料納付書
軽自動車:自動車検査証再交付申請書(軽第3号様式)
車検証の再交付申請手数料を支払う
普通自動車の車検証再交付申請手数料350円の場合は、窓口で必要分の収入印紙を購入し手数料納付書に貼り付けて窓口へ提出します。
軽自動車の車検証再交付申請手数料350円の場合は、軽自動車検査協会の手数料支払い窓口で支払います。
書類一式の提出
当日取得した書類に必要な内容を記入し、一式をまとめて業務受付時間内に窓口へ提出します。
新しい車検証の受け取り
書類内容の確認を受けて問題なく受理がされると、車検証が交付されます。交付された車検証の記載情報を確認して、記載ミスなどがないかよく確認しましょう。
車検証再発行にかかる費用

普通車・軽自動車の自動車検査証再交付手数料は350円です。どちらの再交付申請にかかる手数料も同じく350円となっていますが、それぞれ費用の支払い方法が異なります。普通自動車の車検証の再交付申請は、手数料分の印紙を窓口で購入し、手数料納付書に貼り付けて提出します。軽自動車の車検証の再交付申請は、申請手数料を窓口で支払います。
車検証再交付申請手数料をキャッシュレス決済で支払う
令和5年1月4日から、クレジットカードで普通車の自動車検査登録手数料の支払いが可能になりました。クレジットカードでキャッシュレス決済を利用するには手順があり、事前に「くるまの保有関係手続お支払い情報登録サービス」に、お支払い情報の登録をしておく必要があります。(※支払者のメールアドレス、自動車検査証の情報が設定時に必要となりますので、受け取り通知を確認できるメールアドレス・車検証情報がわかるもの、を準備して登録しましょう)。
キャッシュレス決済を利用し、申請手数料をクレジットカードで支払った場合は、当日窓口での印紙購入の必要がありませんが、その代わりに決済利用登録時に発行される支払い受付番号を手数料納付書に記載して提出する必要があります。
※軽自動車の車検証再交付申請手数料支払いでは、キャッシュレス決済を利用することはできません。
まとめ
こちらでは電子車検証をもしも紛失してしまった時、再交付申請する手順や必要書類について詳しく解説しました。車検証を車に携帯せず、そのまま自動車を走行してしまうと、道路運送車両法違反となり五十万円以下の罰金になります。万が一車検証を紛失したと気づいたときは、できるだけ速やかに再発行しましょう。