自賠責保険と任意保険の違いとは?補償範囲や補償内容を徹底解説!

自動車保険

車に関する保険には、「自賠責保険」と「任意保険」の2種類があり、それぞれ補償範囲や補償内容が異なります。こちらでは、自賠責保険と任意保険の違いから、それぞれの特徴や補償範囲、補償内容までを詳しく解説していきます。

自賠責保険とは

自賠責保険とは、交通事故による被害者の救済を目的に、二輪自動車や原動機付自転車を含む全ての車に加入が義務付けられている強制保険です。自賠責保険とはどのようなものなのか、詳しく見ていきましょう。

自賠責保険に加入していないと科される罰則

自賠責保険に加入していない車で公道を走行した場合、自動車損害賠償保障法第86条の3により、1年以上の懲役または50万円以下の罰金が科され、免許停止処分に相当する違反点数6点が加算されます。また、運転時に自賠責保険証明書を所持していない場合は、自動車損害賠償保障法第88条の1により30万円以下の罰金が科せられるため、自賠責保険証は車に備え付けておく必要があります。

自賠責保険の補償範囲

自賠責保険は被害者に対して最低限の救済をするための保険であるため、補償の範囲は相手方に対する身体への損害賠償のみに限定されています。そのため、相手の車やバイクなどの財物に損害を与えた場合や、自身の身体や財物に損害を受けた場合などは補償の対象外となり、自賠責保険から保険金が支払われることはありません。

自賠責保険の保険料・補償内容

自賠責保険の保険料は、毎年1月に金融庁が開催する「自動車損害賠償責任保険審議会」で決定されるため、どの保険会社であっても同じになります。補償内容は「傷害による損害」「後遺障害による損害」「死亡による損害」の3つで、どの保険会社であっても同じです。また、被害者が複数人いる場合は、被害者全員が補償の対象となります。

障害による損害

交通事故により被害者がケガを負った場合、「治療関係費」「休業損害」「文書料」「慰謝料」を含めた損害賠償金が、被害者1人につき120万円までを限度額として補償されます。

後遺障害による損害

交通事故により被害者が後遺症を負った場合、「後遺症傷害慰謝料」「後遺症傷害逸失利益」を含めた損害賠償金が、被害者1人につき4,000万円までを限度額として補償されます。

死亡による損害

交通事故により被害者が死亡した場合、「死亡慰謝料」「死亡逸失利益」「葬祭関係費」を含めた損害賠償金が、被害者1人につき3,000万円までを限度額として補償されます。

任意保険とは

任意保険とは、自賠責保険では補償されない部分をカバーする保険のことで、加入は任意になります。任意保険には、自賠責保険では補償されない対物補償なども備えられており、予算を含め、自分に合った補償内容を選ぶことができます。

任意保険の補償内容

任意保険の主な補償内容は、相手方の人や物に対する補償である「賠償責任保険」、運転者や同乗者に対する補償である「傷害保険」、運転者の車に対する補償である「車両保険」の3種類に分けられます。

任意保険の特約

任意保険には、基本補償をより手厚くカバーするための「特約」というオプションがあります。特約は基本保障にプラスして契約するオプションであるため、単独で加入することはできません。特約の種類や内容、名称などは保険会社によって異なり、補償内容を充実させるためのものもあれば、補償範囲を限定することで、保険料を抑えるためのものもあります。

任意保険の等級制度

任意保険には、契約者の事故歴に応じて1等級から20等級までにランク分けし、その等級に応じて保険料の割増率や割引率が変わる等級制度というものが設定されています。任意保険に加入すると原則6等級からスタートし、1年間無事故で保険を利用しなかった場合は翌年度の等級が1つ上がり、事故を起こして保険を利用した場合は翌年度の等級が3つ、または1つ下がります。この等級が3等級以下になると、保険料が割引ではなく割増されるため注意しましょう。

ロードサービスが利用できる

任意保険には、ロードサービスが付帯していることがほとんどです。ロードサービスとは、タイヤがパンクしたりバッテリーが上がったなどの理由で車が自走できなくなった際に、現場に駆けつけて応急処置を行ってもらえるサービスのことです。ただし、一部ではロードサービスが特約扱いになっていたり、車両保険に加入することが条件となっている場合もあるため、事前に確認しておきましょう。

損害賠償金の一括払いが可能

任意保険に加入している場合、自賠責保険の補償分と任意保険の補償分を合わせた損害賠償金の全額を、まとめて任意保険会社に請求することができます。この任意保険の一括払いを利用することで、事故の被害者は自賠責保険会社と任意保険会社のそれぞれとやり取りをする必要がなくなり、手間を省くことができます。

賠償責任保険の種類

賠償責任保険とは、事故の相手方の人や物に対する補償を受けられる保険のことで、以下の2種類があります。

対人賠償保険

対人賠償保険とは、事故の相手方や歩行者などにケガをさせてしまったり死亡させてしまった場合に、自賠責保険の損害賠償限度額を超えた分の治療費や慰謝料などの補償を受けられる保険です。

対物賠償保険

対物賠償保険とは、自賠責保険の補償対象外となる他人の車やバイク、家屋などの物を損傷させてしてしまった場合の補償を受けられる保険です。人の物だけでなく、ガードレールや信号機、電柱などを損傷させてしまった場合も補償の対象となります。

傷害保険の種類

傷害保険とは、運転者本人や同乗者に対する補償を受けられる保険のことで、以下の4種類があります。

人身傷害保険

人身傷害保険とは、契約車両に乗車中の運転者本人や同乗者がケガをしたり死亡した場合の補償を受けられる保険です。人身傷害保険では事故の過失割合に関わらず、保険会社の定める基準に基づいて計算された実損害額分の保険金が支払われます。

搭乗者傷害保険

搭乗者損害保険とは、契約車両に乗車中の運転者本人や同乗者がケガをしたり死亡した場合の補償を受けられる保険です。人身傷害保険と異なるのは、支払われる保険金が実損害額分ではなく、契約であらかじめ決められた金額になるという点で、保険金は入通院日数や後遺障害の程度に応じて支払われます。

無保険車傷害保険

無保険車傷害保険とは、事故の加害者が不明な場合や、加害者が保険に加入しておらず、十分な損害賠償を受けられない場合の不足分の補償を受けられる保険です。また、免責によって保険金が支払われない場合や、保険金の金額が低い場合も利用することができます。

自損事故保険

自損事故保険とは、自損事故で運転者本人がケガをしたり死亡した場合の補償を受けられる保険です。単独事故の場合、自賠責保険で補償を受けられるのは同乗者のみであり、運転者本人は対象外となるため、運転者本人に生じた傷害に備えることができます。

車両保険の種類

車両保険とは、契約車両の破損に対する補償を受けられる保険のことです。車両保険には、単独事故や当て逃げ、盗難などによる損害を補償するものや、他車との接触損害のみを補償するタイプのものなどがあり、自分に合ったものを選ぶことができます。 事故車の修理に保険を利用すると等級が下がり、翌年度からの保険料が高くなってしまうため、事故車の修理に保険を利用するかどうかは慎重に検討する必要があります。

事故車買取専門のカーネクストは、全国13,000社の自動車関連業者と提携することで、中古車としての販売が難しいような事故車であってもパーツや鉄資源として販売することを可能にし、事故車の高価買取を実現しています。まずは事故車の査定を受け、修理費用と比較検討することをおすすめします。

まとめ

自賠責保険の補償範囲は相手方の身体に対する補償に限られているのに対し、任意保険は補償範囲や補償内容を自分で選ぶことができ、自賠責保険では補いきれない部分をカバーすることができます。自賠責保険の後遺障害に対する損害賠償限度額4,000万円や、死亡に対する損害賠償限度額3,000万円は一見大きな金額に感じますが、実際には必要な損害賠償金全てを自賠責保険で補うのは難しい場合がほとんどです。任意保険に加入することで、被害者に対する損害賠償金を不足なく支払うことができるだけでなく、自身に対する補償も受けることができるため、任意保険に加入しておくことをおすすめします。

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