令和6年中の道路形状別交通死亡事故発生件数をみると、交差点内や交差点付近等における発生件数は1,182件で全体の45.5%を占めていました(警視庁-令和7年交通安全白書)。交差点付近は、歩行者や自転車、二輪車、自動車が行き交う場所です。周囲との安全な運行のためにも、道路交通法によって定められた運転方法を守る必要があります。
こちらの記事では、交差点付近や交差点内で交通違反をしてしまった時、プラスされる違反点数や罰則(罰金時)について、守るべき運転ルールと合わせてくわしく解説します。
交差点内での交通違反の違反点数と反則金
交差点進入前、交差点内・交差点付近の通行時には、道路交通法で定められたそれぞれの運行方法があります。その定められた運転方法や通行方法を守らないと道交法違反となり、行政処分として違反点数の加算と反則金が科せられます。違反点数制度では、累積点数に応じて免許停止や免許取消等の処分が行われます。
交差点違反の違反点数と反則金一覧表

交差点違反の違反点数と反則金の一覧を表にしたものがこちらです。
| 違反の名称 | 違反点数 | 反則金(普通車の場合) |
|---|---|---|
| 交差点右左折方法違反 | 1点 | 4,000円 |
| 交差点安全進行義務違反 | 2点 | 9,000円 |
| 交差点等進入禁止違反 | 1点 | 6,000円 |
交差点右左折方法違反とは
道交法(第34条)で定められた右左折方法を守らないことを、交差点右左折方法違反といいます。
道路交通法 第6節交差点における通行方法等
第34条 左折又は右折
車両は、左折するときは、あらかじめその前からできる限り道路の左側端に寄り、かつ、できる限り道路の左側端に沿って(道路標識等により通行すべき部分が指定されているときはその指定された部分を通行して)徐行しなければならない。
交差点に入る時や通行時には、右折する車両は歩行者に気を付けて、安全な速度で進行しなければいけません。右折時は右折先の交差点出口の歩行者や通行する車両にも気を付ける必要がありますが、対向車線から直進してくる二輪車は見えづらく、交差点内での事故原因として多くなっていますので特に注意するようにしてください。
交差点左折時の運転方法を解説します。左折する交差点が見えたら、ウィンカーで左折する合図を出して、周囲の安全を確認してから、ゆっくりと左側へ車体を寄せるように進みます。交差点の手前30メートル時点で、左寄せが完了するように動きましょう。ミラーや目視で車体の左側の巻き込み確認を行い、安全が確認できてからハンドルを切り始めて、交差点の左角部分に沿って徐行します。大型車両が左折する場合は、左後方が見えづらくなります。内輪差によって前輪よりも後輪が内側を通りますので、左寄せをしっかりしておくことで左折時に他の通行者を巻き込まないように注意しましょう。
膨らみ左折とは
膨らみ左折とは、あおりハンドルとも呼ばれる運転癖のことです。左折しようと車が曲がる直前で、ハンドルを右に一度切って大きく膨らんでから曲がることを、膨らみ左折といいます。国産車は基本的には右ハンドル車です。そのため左折時は左側の縁石やポールが見えず、正しく距離が取れているかわからない不安から必要以上に右側に膨らんで走行してしまう運転者も少なくありません。この膨らみ左折をしてしまうと、対向車線の直進する車と衝突してしまったり、右側にハンドルを一度切っているため、後方にいる二輪車や後続車は前方車は右折車と勘違いされて、左折時に直進してきた後続車両と衝突してしまう危険性があります。
膨らみ左折しないように気を付けるには、交差点左側にある縁石等が見えている手前から、適切な距離間まで左寄せを行い、交差点に入ってから左折することが安全な運転方法となります。
ショートカット右折とは
ショートカット右折とは、本来なら交差点に入って中心に向かう手前からハンドルを切り始めるところを、交差点手前からハンドルを切り始めて内寄りに右折してしまうことを言います。曲がるスピードが速いため、右折終わりの道を横断する歩行者と接触する恐れがあったり、内側に曲がるためセンターラインを越えてしまい対向車線の車に当たる事故の可能性もあります。
交差点安全進行義務違反とは
交差点安全進行義務違反は、交差点を通行する時に、交差点内を通行する歩行者や他の車両に対して、安全を考慮できていない、注意不足を違反とするものです。交差点付近や交差点内では、安全な速度や安全な運転方法を守り、安全確認をしっかり行って、信号無視や無理な通行などをしないようにしましょう。
交差点等進入禁止違反とは
交差点等進入禁止違反とは、前方が渋滞していて車が前に進めず、交差点内で停止してしまう可能性があるのに無理に進入してしまって、他の車線を走行する車両の進行を妨害してしまうといった違反行為のことです。交差点内だけでなく、交差点手前の横断歩道や自転車横断帯上で停止してしまった場合も違反行為となります。
環状交差点の通行方法・交通違反の注意点

環状交差点とは、車両で通行する部分が環状になっている交差点のことで、道路標識などで車が環状部分を通行する時は、右回りに通行と指定されています。回り道や遠回りといった意味をもつ、Roundabout(ラウンドアバウト)とも言います。令和6年3月時点で、全国161か所に導入されています。
元々環状交差点はヨーロッパで普及してきた特徴のある交差点です。信号機がなく、時計回りに一方通行で運行しているため速度が抑制されます。車両同士の出会いがしらの事故が少ないため安全性が高く、信号待ちがないというメリットがあります。デメリットとしては、交通量が多い道路では向いていないことがあります。また、スペースの確保が難しいなどの理由から導入には課題も多いようです。
環状交差点で交通違反した時の違反点数と反則金
信号機のない交差点となっている環状交差点ですが、交差点への進入時、交差点内での通行時、交差点から出る時については、道路交通法により交通方法(規則)が定められています。
| 規則の内容 | 罰則 | 違反点数 | 反則金 |
|---|---|---|---|
| 環状交差点を通行する時、左折・右折・転回をする時は、その前から左側端へ寄せて徐行しなければならない | 3万円以下の罰金 または科料 | 1点 | 4,000円 (普通自動車) |
| 環状交差点内を通行する車両が優先となり、進行を妨害してはならない。また、交差点に進入するときは徐行しなければならない | 3カ月以下の懲役または 5万円以下の罰金 | 2点 | 7,000円 (普通自動車) |
| 環状交差点内に入ろうとする時、通行する車両、直近で横断する歩行者に注意し、安全な速度と方法で進行しなければならない | 3カ月以下の懲役または 5万円以下の罰金 | 2点 | 9,000円 (普通自動車) |
| 環状交差点を出る時は、左側の手または方向指示器による灯火で合図をしなければならない(交差点を出るまで継続すること) | 5万円以下の罰金 | 1点 | – |
環状交差点から出る時の合図の方法
環状交差点は右回りに指定されているため、交差点から出る時は左側道路へ出ることになります。そのため、交差点を出る前に、左側へ方向指示器を灯火させて合図をする必要があります。方向指示器が点かないトラブルや、夕陽等で見えづらく手で合図をする時は、左ハンドル車で車体左側面の外へ腕を出せる時は、左腕を外に出して水平に伸ばします。右ハンドル車の時は、右腕を車体右側面から外に出して、肘を垂直に上に曲げます。
まとめ
こちらの記事では、交差点内での交通違反について詳しく解説しました。交通事故の発生件数で見ても、交差点内は多数の交通が重なる場所で決して少なくありません。安全な速度での交差点への進入や、左折・右折時の運行ルールを守り、交通事故につながる運転をしないよう心がけましょう。


