降車後に起こった事故の補償は?個人賠償責任特約がないと対応が大変!

自動車保険

歩行中に誤って他人の車に傷をつけてしまった時、傷をつけた人は損害賠償の責任を負うことになります。加害者側として、車の修理費用の支払いなどの対応もしなくてはいけません。このような損害を賠償する必要がある時に【個人賠償責任保険】に入っておくと安心です。

こちらの記事では、個人賠償責任保険・個人賠償責任特約について詳しく解説します。

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個人賠償責任保険とは

歩行中や自転車に乗っている時などの日常生活を送る中で、誤って人に怪我をさせたり、人の物を壊してしまったら損害賠償責任を負うことになります。個人賠償責任保険は、このような損害補償責任を負った時の損害を補償する保険のことです。2021年のある保険会社の調査で個人賠償責任保険の加入率は60%、2023年の調査では65%を超えていて、補償内容の重要性と認知度が上がるとともに加入率も上がっています。

個人賠償責任特約との違い

個人賠償責任保険は、法律上の損害賠償責任を負った時の損害を補償する保険です。被保険者が住宅管理または日常生活のなかで、他人に怪我をさせてしまった時や人の所有物に傷をつけてしまった時に、損害賠償責任を補償するための費用を対象として保険金が支払われます。

「個人賠償責任保険」は単独の保険となり、怪我をさせてしまった時の治療費や慰謝料、人の所有物に損壊を与えた時の修理費用を補償します。ただ単独で保険加入するよりも、一般的には自動車保険や火災保険、傷害保険などに特約(オプション)として加入することが多い傾向です。そのため、複数の保険会社に分かれて自動車保険や火災保険に加入されていると、プラン次第では個人賠償責任特約の内容が重複してしまっている場合があります。

個人賠償責任保険の補償対象

個人賠償責任保険の補償対象となるのは、以下のような事故の時です。

  • 被保険者が自転車で走行中、歩行者に当たってしまい怪我をさせた
  • 店内で買い物中、被保険者が持つ鞄が当たって商品を壊してしまった
  • 散歩中に飼っているペットが、他人に噛みついて怪我をさせてしまった
  • 子どもが遊んでいて、駐車中の自動車にボールをぶつけてしまい傷をつけた
  • マンションに住んでいて水漏れを発生させて階下の部屋へ損害を与えた
  • 誤って線路へ立ち入り電車等の運行に影響を与えてしまった
  • 学校から借りていたタブレット端末を子供が壊してしまった

保険金が支払われる費用の内容は、被害を受けた人への治療費や慰謝料、物損に対する修理費のほかに、弁護士費用や訴訟になった時にかかる費用、調停・和解・仲裁の場合の時の費用も対象となります。

個人賠償責任保険の補償対象外

個人賠償責任保険の保険金が支払われない補償対象外になるのは以下のような内容です。

  • 被保険者が故意に起こした事故による損害賠償責任
  • 地震や噴火、それを起因する津波など甚大な被害による損害賠償責任
  • 同居する親族に対して発生した損害賠償責任
  • 被保険者が所有、使用、管理している物、その物の管理権限を持つ人に対する損害賠償責任
  • 被保険者が仕事を行う(職務を遂行する)時を起因とする損害賠償責任
  • 被保険者が心神喪失となり、それに起因した損害賠償責任
  • 航空機や船舶、自動車などの所有、使用、管理に起因した損害賠償責任

被保険者が故意に被害を与えたり器物を損壊した場合は、被害者に対して賠償責任を負うことになりますが、故意による損害に対して保険金は支払われません。

個人賠償責任特約は必要?

車を運転している時ではなく歩行中や自転車に乗っている時に、他人に怪我を負わせてしまったり、他人の物を壊してしまった場合は、一般的な車両保険の補償は対象外となるため、賠償責任を負った本人がすべて対応しなくてはいけません。

このように、車を降りてからの歩行中や自転車等で移動している時に起こした事故の賠償責任の補償を対象とするのが、個人賠償責任保険(特約)なのです。

自転車事故は個人賠償責任特約がないと大変なことになる

自転車で走行中に歩行者と衝突した自転車事故の発生件数は、決して少なくありません。警察庁による【令和6年における交通事故の状況】をみてみると、自転車乗用者が当事者となって対歩行者間で発生した交通事故件数は、年間で3,043件となっていました。

これまでの自転車事故の中には、歩行者に大怪我を負わせて後遺障害が残ってしまったり、死傷者を出してしまったという重大事故もあります。下記はその重大な自転車事故で被害者への高額賠償が命じられた判決事例です。

いつ概要判決文による賠償額    
平成17年11月   女子高校生が夜間に携帯電話を操作しながら、無灯火で自転車を走行しており、前方を歩いている57歳の女性と衝突した事故で、女性には重大な障害(手足がしびれて歩行が困難)が残った5,000万円
平成19年4月成人男性が昼間に信号表示を無視して速度を保ったまま交差点に進入し、青信号で横断歩道を横断していた55歳の女性に衝突し、女性は11日後に亡くなった5,438万円
平成25年7月坂道を下っていた男子小学生の自転車が歩行中の62歳の女性と衝突し、女性は意識不明で寝たきりの状態となった9,520万円
令和2年7月男子高校生が夜間にイヤホンで音楽を聴きながら無灯火で自転車を走らせ、パトカーの追跡を受けて逃走、職務質問を行っていた警察官と衝突した。警察官は約2カ月後に亡くなった9,330万円

自転車による加害事故では、このように大きな被害を与え、数千万円以上の高額賠償金の支払いが命じられることもあるのです。自転車乗用者が加害者となって事故を起こしてしまった時、個人賠償責任保険に加入していなければこの高額な賠償金はご自身で支払っていくことになります。

個人賠償責任特約がないと事故対応も自分ですることになる

上記のような自転車事故を起こして加害者になってしまった時や、誤って他人の器物を損壊してしまった時、個人賠償責任保険(特約)に加入してしないと、相手への損害賠償金を全額負担するだけでなく、損害賠償額の算定や、被害者との示談交渉対応もすべて自分自身でしなくてはいけません。

個人賠償責任保険(特約)に加入していると、国内で発生した事故であれば基本的に保険会社が示談交渉等のサポートについてくれますし、弁護士費用等も保険の補償内容に含まれている場合があります。万が一のことを考えて、個人賠償責任保険または特約には加入しておくべきでしょう。

個人賠償責任特約はどんな保険に付けられる?

個人賠償責任保険として保険に単独で加入するのではなく、任意保険の特約(オプション)として個人賠償責任特約に加入することで、複数の保険に入らなくても必要な補償をつけることができます。

どのような任意保険に個人賠償責任特約(オプション)をつけることが多いのでしょうか。こちらでご紹介します。

火災保険、自動車保険、傷害保険に特約として設定可能

個人賠償責任特約は、火災保険、自動車保険、傷害保険にオプションとしてつけることができます。その中でも火災保険(共済)は、保険会社の調査によると82%を超える加入率の高い保険で、持ち家があるご家庭での加入率はかなり高くなっています。火災保険は家庭ごとに加入している場合も多いため、ご家族が万が一日常生活で事故を起こしてしまった時にも補償があるため、火災保険に個人賠償責任特約(オプション)を付ける方は多くなっています。

火災保険とは、火災被害や自然災害、盗難等により建物や家財に損害が生じた時の補償をする保険となっています。基本補償の対象には、自然災害(台風や豪雨、雹、降雪による損害)が含まれます。また、火災に加えて落雷や破裂・爆発による損害も基本補償内です。ただし、建物の補償と家財(家具や日用品)の補償は一つの保険商品ではないため、火災保険加入時にそれぞれの補償を設定する必要があります。

個人賠償責任特約の重複に注意

個人賠償責任特約は、火災保険だけでなく自動車保険や傷害保険にもオプション設定できるプランがあるため、誤って同内容の特約に重複して加入している人もいます。重複していたとしても、事故が起こった際の補償が2倍になるわけではありません。保険料を重複して支払っている場合は、事故が起こった際に保険金の最大額が上がりますが、被害者への補償金額の設定がそもそも無制限となっている場合は、必要な保険金とされる治療費や慰謝料を含めた最大額を、一つ分の特約で賄うことができます。となると、2倍の保険料を支払っても必要な保険金しか受け取ることはできません。個人賠償責任特約の保険料はお手頃と言われていますが、重複での加入は片方が無駄になってしまい損ですので、加入内容を確認して同特約を設定するのは一つだけにしましょう。

自動車保険のプランを提案している保険会社によると、自動車保険に個人賠償責任特約をつけて加入している人は約3割となっていました。少ないと思われるかもしれませんが、実はほとんどの人が火災保険で既に個人賠償責任特約をつけていたため、重複になることから自動車保険にはこちらの特約をつけていないという人が多いようです。

まとめ

こちらの記事では、車を降りてからの歩行中や、自転車を運転しての移動中など、日常生活での事故に対する補償がある【個人賠償責任保険(特約)】について詳しく解説しました。特に自転車事故については前述の通り、重大事故になってしまう可能性もあり、死傷者も出ていて被害が甚大になると賠償金額も高額になります。万が一のことも考えて、火災保険や自動車保険に加入する際は個人賠償責任特約をつけておくことをおすすめします。

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