車の事故は、決して少なくありません。警察庁の統計資料によれば運転免許保有者(ドライバー)のうち、約4割が車による人身事故を起こしてしまう計算となっています。令和6年に発表された警察庁の統計資料によると、令和5年中に発生した交通事故件数において第一当事者が自家用乗用車に分類される交通事故の発生件数は、全国で年間209,269件でした。前年の令和4年中の発生件数と比べると、5,366件増となっています。1年間の交通事故件数を365日で割ってみると、約573件の自家用乗用車による事故が一日内にて発生しているという計算になります。
事故車買取のカーネクストにご依頼をいただくお客様のなかにも、事故を起こしてしまい車を廃車されるという方が多くいらっしゃいます。事故にあって動かなくなった車、レッカーで運び修理工場に預けている車を廃車することにした場合、その車は買取してもらえるのでしょうか。一般的に事故車というと事故を起こした車と思われることが多いのですが、実は中古車業界にとっての事故車とは、事故車の定義にあてはまる車のことです。
こちらでは、事故車の買取について、また買取査定にも影響する事故車の定義について、詳しくご紹介いたします。
事故車って買取可能?
事故車をイメージしていただくと、追突事故でボンネットやフロントが大きく凹んでいる状態を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。フロントガラスが割れていたり、衝撃により車を支える骨格が曲がってしまうなど、車が受けた損傷の大きさによっては走行不可車となって修理も難しく、廃車せざるを得ないといった状況になることも、もちろんあります。また、修理費用が高額で車を新しく購入する価格と同程度の負担がかかる結果になってしまうこともあります。
このように不動や故障で、廃車することを前提にしか売却することしかできない事故車でも、買取をしてもらえるのでしょうか。ケースごとにご紹介いたします。
ディーラーへ事故車の処分を依頼する
事故を起こしてしまい、事故車の損傷が大きかったため、次の車に乗り換えを考えた場合。
まず、ディーラーへ事故車の下取りを依頼する方が多いでしょう。ただし、ディーラーによる下取りとは購入する車から、下取り車両の金額分を値引きすることです。買取金を受け取れるわけではありません。また、事故車で修理が必要な車や、修理が難しく中古車としての再販が難しい事故車の場合でも、ディーラー自体は修理をしたり、廃車解体する施設を持っているところではありません。
このような状態の事故車を下取りした時は、ディーラーが提携業者へ修理を外注し、再販出来る状態までの修復費用がかかります。また、修理ができない車の場合は提携する廃車解体業者へ売却をするため、中間マージンのみがディーラーにとっての利益です。このように下取り後の販路を見てみると、ディーラーに利益が少ないため事故車の下取りによる値引き金額に期待することは難しいでしょう。また、利益が出ないと判断された場合は、事故車の引取り自体を断られたり、引き取り費用が発生する可能性も少なからずあります。
中古車業者へ事故車の処分を依頼する

車買取業者として、真っ先に思いつくのは中古車業者という方がほとんどでしょう。テレビコマーシャルや広告を大きく打っていたり、地域の主要な幹線道路沿いに店舗展開している大手中古車業者も多く、知名度もあります。中古車業者は事故車の買取が出来るかというと、買取出来る車もあれば、買取出来ない車もあるといったところです。中古車業者は、買取車を再販することで利益を得ています。
中古車業者のなかには、自社に修理や整備、鈑金をする施設を有した業者もあります。ボンネットの凹みや、ヘッドライトの割れなら部品交換や鈑金修理を行うことで、再度車としての販売が可能です。自社に修理出来る設備を有していれば外部への発注をする必要もなく、再販までにかかる費用を抑えて自社で再販まで出来るため、一貫してマージンを省くことから買取もできるのです。
ただし、再販する時には車の元々の価値が影響します。もしも事故車が低年式や多走行で、さらに事故歴が増えてしまう場合、再販価格が一気に減損してしまいます。修理費用・部品費用、買取金額を差し引いて、売却する利益が出ない場合、中古車業者は事故車を買取出来ないのです。
事故車買取に強い専門の買取業者へ依頼する
事故車買取のカーネクストは、中古車として再販出来ない状態の事故車、不動車や故障車となった事故車でも買取が可能です。カーネクストがどんな事故車でも買取を出来る理由は、強みである買取後の販路の多さにあります。ディーラーや中古車業者は、事故車を買取後に車として再販するルートしかない場合が多く、事故車を再販する時に価格がつかない場合、事故車の引取り自体を断ってしまうこともあります。
ところが、カーネクストは事故車を中古車としてだけでなく、解体しリサイクルパーツや輸出用工業部品として活かす販路や、車に使用されている貴重な鉄や金属素材を活かす販路を持っているため、買取が出来るのです。事故の損傷による不動車や、車の骨格が損傷している事故車は、車としての再販は厳しいため、買取自体を断られたり費用が請求されてしまうこともありますが、カーネクストでは事故車を活かす販路が多いため、原則0円以上の買取が可能なのです。
どこからが事故車?

一般的に言われる「事故車」とは、交通事故を起こし損傷がある車全般のことを指していますが、実は自動車の業界においては、事故を起こした車という意味ではなく、修復歴のある車のことを指す名称となります。ただし、事故や災害等で損害を受け修復歴がある車のすべてが修復歴車というわけではありません。自動車買取業者や、自動車販売店に在籍する査定担当者が車の査定をする時に使用している中古自動車査定基準において、交通事故やその他の災害により、自動車の骨格等に欠陥を生じたもの、またはその修復歴のある車のことを修復歴車というのです。こちらでは車の買取査定基準にも重要なポイントとなる事故車の定義、修復歴車について詳しくご紹介いたします。
事故車の定義
事故車の定義である修復歴車と判断される車は、以下の8つの骨格部位に損傷があるか、修復されているか、交換されているかの車になります。
自動車公正競争規約施行規則第14条によって定義されている、修復歴があるとされる8つの骨格部位は【フレーム、クロスメンバー、インサイドパネル、ピラー、ダッシュパネル、ルーフパネル、フロア、トランクフロア】です。
※ただし、この骨格部位のネジ止め部分は骨格に含みません。
走行や機能に影響のない部分
軽微な衝突事故の場合、骨格部位まで損傷が届いていないこともあります。一般的には「事故車」と思われるかもしれませんが、修復歴がある車(=事故車)の定義にあてはまらないため、修復歴はつきません。
例えば、縁石に乗り上げてしまいフロントフェンダーに損傷が出来たため修復をした時や、狭路から右折しようとして余裕がなくバンパーが割れてしまって交換をした場合など、どちらも修復や交換をしていますが走行や機能に影響のない部分のため、修復歴として残ることもなく、事故車にもなりません。
事故車を廃車するかどうかの判断基準
事故車を廃車するかどうかを判断する時、基準となるポイントは2つあります。
1つ目は、事故車の損傷具合の大きさです。交通事故で車が大きな損害を受け修復や交換も出来ず、廃車せざるを得ない場合、廃車を選択します。
2つ目は、事故車の損傷は修理工場で修復や交換が可能だが、修理費用を見積った結果、高額な自己負担が必要となり乗り換える場合、廃車を選択します。
車の損害が大きく修復が不可能
車の損傷具合は、事故の大きさに比例することが多くなります。大きな事故で車のフレームや車軸、エンジンルーム周辺のパネルにまで損傷が及んでいる場合、修理は難しいことがほとんどです。部品の交換をするとしても、車の購入費用レベルの修理費用が見積もられることも少なくありません。
事故車の修理費用見積もりが高額
事故をおこした車が、修復または部品の交換をすれば回復が可能な場合、修理するか乗り換えて廃車するかは修理にかかる費用次第と悩まれる方も多いでしょう。修理費用や部品の交換費用の一般的な概算表がこちらです。
損傷部位 | 修理費用相場 |
---|---|
エンジン交換 | 70万円前後 |
エアコン交換 | 20万円~ |
マフラー交換 | 3万円~ |
バンパー交換 | 15万円前後 |
ボディの小さなこすり傷 | 1,000円~ |
ボディの大きなこすり傷 | 4万円前後 |
ボディの小さなへこみ | 2万円~ |
ドア交換 | 10万円(日本車の場合)~ |
フレーム(軽微) | 10~100万円(程度により異なる) |
フレーム(甚大) | 100万円~ |
修理費用・部品交換の費用は、任意保険に加入している方なら車両保険から充てることが出来ます。ただし保険料から全額負担が出来るのか、自己負担額が必要になるのかは加入されている保険内容により異なるため、確認しなければいけません。長く乗り続けた愛車なので、どうしても乗り続けたい、希少車種で手放したくないという方ももちろんいらっしゃると思いますが、自己負担額が新車や中古車への乗り換えにかかる車の購入代金と同額、またはそれ以上なら、廃車をして次の車へと乗り換えることもご検討されてみることをおすすめします。
事故車を買取ってもらうコツ
事故車を車買取業者へ上手に買い取ってもらうコツが3つあります。事故車だからと費用をかけて引き取ってもらったり、売却先の選び方を間違えてせっかく価値のある車を安く売ってしまうことがないように、買い取ってもらうコツを前もっておさえておきましょう。
事故車・修復歴を隠さない
まず事故車の買取査定を受ける時は、事故車であることや修復歴車であることを隠さないようにしましょう。事故車(=修復歴がある車)であることは、プロの査定担当者が確認をするとすぐにわかってしまうことです。もしも売却後に事故車であることがわかった場合、売買契約後の契約違反となり、売主に対して損害賠償が請求されたり、補修費用や売買代金の返金請求をされる可能性もあるのです。修復歴がある車でも誠実に内容を伝えることで信頼性があがりますし、後々のトラブルを避けることも出来ます。
レッカー費用がかからない買取業者を選ぶ
事故車の場合、損傷によって故障があったり、車軸が曲がり不動車になっていることもあります。その場合、事故を起こしてしまった場所から修理工場などへは任意保険や、JAFなどのロードサービスを利用して移動している方も多いでしょう。ただし、修理工場で見積もりをとった結果、修理費用が高額になってしまった場合は事故車の買取業者へ依頼をして、修理工場から引き取ってもらう必要があります。
その時に、買取業者によってはレッカー費用が別途かかってしまい買取額から差し引かれることもあるのです。不動車の移動には積載車(レッカー)が必要になりますが、レッカー会社やロードサービスへ依頼をして運ぶ場合、距離にはよるものの少なく見積もっても1万円~数万円程度かかる場合もあります。買取がついたと思ったら、マイナスになったと損をしないために、レッカー費用がかからない買取業者を選びましょう。
まとめ
事故をおこしてしまい車買取業者へ見積もりをとる場合、へこみ傷や擦り傷など外装を綺麗に直してから査定に出そうとする方がいらっしゃいます。実は、板金や塗装は買取業者によっては自社設備を持っているため自社内で行うことが出来ることもあり、買取査定自体にはプラスにならないのです。外装の塗装や板金の修理費用が、事故車の買取査定額を上回ることも少なくないため、損をしてしまうかもしれません。手を加えずに事故車買取査定を受けることがおすすめです。