事故で損傷した自動車の修理を依頼した時、整備工場から受け取った修理費用見積書を見てみると、項目欄に「ASSY」と書かれていたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。修理項目に「ASSY・車の部品(構造)名交換」と記載されていても、ASSYって何だろう?と思われる方がほとんどでしょう。
こちらの記事では、車の修理における「ASSY」とは何を指しているのか、ASSY交換やASSY部品とはどのような意味をもって使われているかについて、詳しく解説します。
自動車のASSYとは?

車の修理を依頼した際の内訳や、修理費用見積書の項目で書かれていることがある「ASSY」とは、どのような意味で使用されているのかご存知でしょうか。
「ASSY」とは
まず、車というカテゴリに限らず「ASSY」について解説します。
ASSYは、assembly(アッセンブリー)という英単語の略称です。読み方については、アッシーやアッセンと読むことが一般的です。
略称前の【assembly】には、【組み立て】や【集合】【会合】といった意味があります。複数形のassembliesは、複数の部品をまとめて組み立てるといった意味や、複数名の人や物を集めて会合をすると言った意味で使われています。アメコミヒーローの「–ズ・アッセンブル」という台詞は、ヒーローチームが集結するといった意味があるのです。
ビジネスの分野でもassembly(アッセンブリー)が使われる機会は多く、製造業界では部品生産から製品を組み立てて梱包し、製品を完成するまでの作業工程のことをアッセンブリーと言います。また物流業界では、梱包作業などの最終的な仕上げ工程のことををアッセンブリ業務と言うことがあります。
車に関連する「ASSY」とは
では車に関連する事柄でのASSYは、どのような時に使用されるのでしょうか。車に関することで「ASSY」という略称が使用されているときは、「単体部品をまとめて組み立てた部品のこと」のことであったり、「いくつかの部品をまとめて組み立てる工程のこと」を指しています。
車修理における「ASSY交換」とは

修理費用見積書の項目欄に【ASSY・部品名・交換】と部品名にASSYが付いている時は、損傷のある部品を含む組立部品をASSY部品へと丸ごと交換し、修理することを意味しています。
車修理での「ASSY交換」とは
車修理を依頼するため見積もり費用を取った際、修理項目にASSYと記載されていて、工賃や部品代金は別途記載されていることがあります。この見積書でのASSYが持つ意味とは、どんな意味があるのでしょうか。
車の修理費用の見積書で、記載内容が項目欄【ASSY部品】であれば、組立済み部品の交換にかかる部品費用のことを指します。【ASSY工賃】であれば、組立済みの部品を丸ごと交換する際にかかった工程の修理工賃のことを指しています。
ASSY部品は新品の組立部品のため高価になりやすい
ASSY部品は、元々は単体の部品同士を組み合わせている中規模組立部品のことです。流通時にはすでに組み立てが完了しています。組立後も分解して、単体の部品に戻すことは可能ではありますが、その状態で流通は一般的ではありません。
ASSY部品は、新品の単体部品によって組み立てられている中規模組立部品です。車の製造メーカーが部品を流通させる時は、新品状態のASSY部品(組立済み部品)として流通させています。そのため、整備工場が修理や部品交換に必要な部品を取り寄せようと探しても、新品から探すとなるとメーカーから流通している組立済のASSY部品になるのです。単体部品に比べて、新品のユニット組されたASSY部品は割高になります。
修理代金を抑えることを前提に修理部品を探すのであれば、中古車から取り出した中古部品(リビルト品)を使用することで抑えるという手があります。中古部品については分解後の単体部品で見つかる場合もあります。
ASSY交換になることが多い部品
上記のようなASSY交換になることが多い車の部品項目一例が以下になります。
| 部品名 | 内容 |
|---|---|
| エンジン | エンジンは、複数の部品により組み立てられた内燃機関部品のことです。 外気を取り込み吐き出すバルブ、燃料を機関内に噴出するインジェクター、空気と燃料による混合気に点火するためのプラグ、気体を圧縮するピストンとシリンダー、ピストンとシャフトをつなぐコネクタ部分のコンロッド、動作を支えるクランクシャフトとカムシャフト、動作を制御するタイミングベルト、といった複数の部品をまとめて組み立てます。 |
| トランスミッション | トランスミッションは、エンジンからの動力を調整して足回り(タイヤ)に伝える変速機のことです。 MT(マニュアルトランスミッション)の場合は、大きなメインシャフトと小さいカウンターシャフト、シャフトに連結するギヤ、連結するためのハブという部品、さらに回転速度をシンクロさせるためのリングとスリーブという部品をまとめて組み立てます。 |
| アクスル | アクスルは、車輪を取り付ける構造部分の部品のことです。 車軸(シャフト)と車軸を覆う車軸管(ハウジング)、左右の車輪に回転差をつけるためのギア、シャフトを支える軸受(ベアリング)、シャフトに車輪を取り付けるハブなどの部品をまとめて組み立てます。 |
| ドア | 車のドアは、外装パーツと内装パーツを合わせて組み立てているボディ部品です。 外装パーツには、ドアパネル・ノブ・ミラーなどが含まれます。内装にはドアトリムやポケット、ハンドル、パワーウインドウスイッチなどの機構が含まれていて、それらをフレームとガラスといった部品と合わせて組み立てます。ドアのASSY交換となると部品数が多いため費用も高くなりやすい傾向です。 |
| カーエアコン | 車内温度を調整するカーエアコンも複数の部品で組み立てます。 外からの風を取り込むコンデンサー、圧力を下げるレシーバータンクとドライヤー、冷風に変えるために必要な冷媒ガスを圧縮するコンプレッサー、熱交換器のエバポレータなどから構成されて組み立てます。 |
上記のような組立済みのASSY部品の場合、部品を分解して単品の部品交換を行うよりも、ASSY部品をまるごと交換するほうが分解工程を省くことができるため、部品費用は割高ですが工賃面ではお得になることががあります。整備工場に修理見積もりを依頼する際は、どちらが良いのか確認しましょう。
ASSY交換の場合費用はどのくらいかかる?
では、上記で例に挙げたASSY交換が行われることが多い部品について、丸ごと交換した場合の部品費用はどのくらいかかるのでしょうか。ASSY部品交換時の部品費用相場を紹介します。
| 交換部品 | ASSY交換時の部品費用相場 |
|---|---|
| エンジン | 30~100万円以上 |
| トランスミッション | 軽自動車 15~30万円 普通車 20~50万円 |
| アクスル | 15~80万円 |
| ドア | 10万円~30万円 |
| エアコン | 10万円前後 |
まとめ
こちらの記事では、車の修理依頼を行った際に修理費用見積書の項目に記載される「ASSY」について解説しました。ASSY交換やASSY部品と、日常的に使用することはほとんどない単語ですが、思わぬ事故や故障等で車の修理を依頼する機会になった時、見積書を見て戸惑うことなく内容を理解することができます。
ASSY交換の見積もりを提示されて部品代があまりにも高額になった時は、中古のリビルト部品で代替案を聞いてみることもできますが、修理費用を支払うよりも車の買い替えを検討した方がお得な場合もあります。事故車や修理が必要な車も、専門の買取業者では買取が可能になっていますので、事故車買取業者をお探しの際はカーネクストまでお気軽にお問い合わせください。


