事故の相手が存在しない自損事故ですが、相手がいなくても事故を起こしてしまった場合は、必ず警察に連絡をする必要があります。こちらでは、自損事故を起こした場合の対処法や警察への連絡が必要な理由、自損事故で適用される保険などについて詳しく解説していきます。

自損事故を起こした際の対処法
自損事故を起こしてしまったときは、どのような対応をするべきなのでしょうか。
状況確認
まず事故を起こしてしまったときに第一にするべきことは状況確認です。 運転を止めて、負傷者はいないか確認します。周囲の状況を確認して単独による自損事故だったと確認した場合は、車を路肩等の道路端へ移動させて停車します。他の交通の妨げになったり、二次災害が起こらないようにハザードランプの点灯や車の後方へ停止表示板の設置を行い、後続車へ知らせることで危険を防止します。
高速道路上で車を緊急停止する場合は、後方からの追突など事故を防ぐために三角表示板(または停止表示灯)を設置することが義務付けられています。三角表示板は積載が義務付けられているわけではないため、標準装備として車載していない車種がほとんどとなりますが、高速道路を走行する機会が多い運転者であれば予めカー用品店等で購入し装備しておくことをおすすめします。(道路交通法施行令第27条の6)
警察に通報
車で自損事故を起こしてしまったとき、運転者のみが当事者となる単独事故で、ほかに負傷者がいなかったとしても事故発生から直ちに警察へ連絡する義務があります。
車の運転者が交通事故を起こしてしまったときは、負傷者の有無を問わず、事故の発生日時や場所、事故の程度、損壊した物や損壊の程度、事故の際に講じた措置などを現場にいる警察官または最寄りの警察署の警察官へ報告する義務が法令により定められています。(道路交通法施行令第72条)
自損事故でも警察に届け出なければならない理由
自損事故で、周囲の通行人や他の車の運転者などを巻き込んだ事故ではなかったとしても、前述の通り警察に必ず届け出なければなりません。
法令により警察への報告が義務付けられているからという理由もありますが、それ以外にも自損事故であっても警察へ届け出が必要な理由はいくつかありますので、こちらで解説します。
事故証明書をもらうため
交通事故を起こしてしまったときに警察へ届け出ないと、事故が起きたことを証明するための「交通事故証明書」の発行申請をすることができません。交通事故証明書は、自動車安全運転センターの都道府県方面事務所長が警察から提供された事故の証明資料に基づき、交通事故の事故を確認したことを証明する書面となります。交通事故証明書は、交通事故の当事者が適正な補償を受けられるよう必要な重要書類となります。加入されている自動車保険に使用することが一般的です。
損害賠償ができなくなるため
自損事故を起こし、負傷者はいなかったとしても器物や建物など物的損害を与えてしまう場合があります。交通事故を原因として物的損害を与えてしまった場合、加害者に対して損害賠償の請求があります。加害者側は、被害者側に対し損害賠償金を支払わなくてはいけません。物損の場合は自賠責保険での補償対象外となりますが、任意の自動車保険で対物賠償保険に加入しているのであれば、保険会社に事故の報告を行い、保険金で充当することが可能になります。
保険金をもらえないため
自損事故を起こしてしまうと、ご自身がケガをして治療が必要となったり、運転していた車が損傷して修理が必要となるなど、事故被害によって高額な費用がかかる場面は少なくありません。このような場合、自賠責保険は対人補償のみとなり補償対象にはなりませんが、任意の自動車保険に加入していて「自分や同乗者の補償」「自分の車の補償」「対物補償」などの自損事故の被害が対象となる保険を選んでいれば、損害にかかった費用を保険金で受け取ることが可能になります。しかしその保険金を受け取るには、まず交通事故を起こした際警察への報告をすぐに行い届け出をしていなければ、事故の証明自体ができず保険金申請もままならないのです。
当て逃げ犯になる恐れも
自損事故を起こし器物や建物を損壊してしまったにも関わらず、警察へ報告をせずその場を後にしてしまった場合、当て逃げの犯人とされる恐れがあります。加害者側が事故を起こしてしまった後の適切な対応を怠り、その場を離れているため法令違反になります。当て逃げ犯の罪に問われた場合、運転者には一年以下の懲役または10万円以下の罰金が科されます。
免許の点数が加算されることがある
自損事故や物損事故については、原則として行政処分上の事故扱いにならないため、無事故とみなされます。自動車運転免許についても違反点数の加算はされません。ただし、警察への報告をせず事故後の適正な措置を講じず当て逃げしたり、建造物損壊事故を発生させてしまった場合は付加点数が科されます。
前科がついてしまう
自損事故を起こしてしまった後に警察への報告を怠ったことで、当て逃げの罪に問われ罪状が成立した場合は、道路交通法上の違反点数が加算されるだけでなく、罰金または懲役刑という刑事処罰を受けることになり、前科がついてしまいます。
自損事故で使える保険
自損事故を起こしてしまった場合、使用することができる保険はあるのでしょうか。自動車の保険というと、まずは強制加入が義務付けられている自賠責保険が真っ先に思い浮かぶと思います。しかし、自賠責保険はあくまで交通事故の被害者を救済するための保険となっており、補償を受けることができるのは事故で損害を受けた被害者のみとなります。自損事故を起こしてしまった本人のケガや、事故を起こしてしまった車両の修理費、物損事故にあった損壊賠償を補償対象とする自動車保険に事前に加入しておく必要があるのです。
人身損害保険
人身損害保険の補償対象となるのは、交通事故を起こした際に保険契約している車両の運転者・同乗者が死亡もしくはケガをした場合です。治療費だけでなく、治療のため休業する場合の休業損害も補償対象となる保険です。
人身損害保険は使用しても等級への影響は基本的にありません。
人身損害定額払保険・搭乗者傷害保険
人身傷害定額払い保険の補償は、事故を起こしてしまった保険契約車両に搭乗中の方が、事故によりケガをしたり、死亡された場合に対象となります。保険金額が定額払いで決められているため、ケガをされた場合は治療日数の合計に応じた一律の定額金額が、事故発生から180日以内に後遺障害を負われた場合は後遺障害等級に応じて1名につき保険金額の~%が、事故発生から180日以内に死亡された場合は1名につき保険金額の全額が支払われます。
また、人身損害定額払い保険は搭乗者損害保険と補償内容が重複している場合があり、その場合は搭乗者傷害保険自体が取り扱いがないという保険会社もあります。
対人賠償保険
対人賠償保険は、自損事故を起こしてしまったときに、ご自身の車に同乗されていた他人への補償が対象範囲となります。強制加入とされる自賠責保険と補償内容の本質は変わりませんが、自賠責保険では補償される保険金額が決まっています。そのため、任意の自動車保険の対人賠償保険は、自賠責保険で支払われる補償範囲を超えた部分を補償する保険となっています。
車両保険
車両保険はご自身の車にかける保険です。自損事故を起こしてしまった車が車両保険に加入していれば、修理費用が保険金として支払われることになります。車両保険の保険金額は、車の初度登録から計算した時価での判断となります。市場価格よりも高い金額を設定することができないため、年式が古く初度登録から10年以上経過している車の車両保険を加入するか検討されている場合は、一度補償の上限金額を確認されておくことをおすすめします。
対物賠償保険
対物賠償保険は、物損事故を起こし他人の所有する車や建物などに損害を与えてしまったとき、その損害を補償する賠償保険です。対物賠償のため、ご自身の車は補償対象になりません。また、原則として契約者の父母・子供・配偶者が相手の場合も対物賠償保険の補償適用外となります。
自損事故保険
自損事故保険は、単独事故を起こしてしまった運転者本人と、同車の搭乗者がケガや死亡してしまったときの補償となります。当該車両への補償はありません。任意の自動車保険に自動付帯されることがほとんどとなっているため、自損事故保険の保険金額は上限が決まっていて、原則変更することができません。対人賠償と比べると保険金額が低いため、万が一のための保険と考えると足りないと考える方もいらっしゃるでしょう。補償対象が近しいものの設定金額を変更できる人身損害保険をセットし、万が一のために安心できる保険金額の設定をしておくという方も多いようです。
まとめ
こちらの記事では、自損事故を起こしてしまったときの対処として、まず状況を確認して安全を確保した上で、速やかに警察へ報告をする必要があるということを詳しく解説しました。
自損事故を起こしてしまったとき、事故により他人の所有物である物や建物、車などに損害を与えてしまう可能性は低くありません。万が一の損害に対して、保険での対応ができるように、任意の自動車保険での加入をして備えておくことをおすすめします。