ショッピングモールや映画館などで駐車場に車を停めて、長時間車から離れるとなると「自動車盗」や「車上荒らし・車上ねらい」といった犯罪に不安を感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。自動車盗とは、車両そのものが盗まれる犯罪のことです。車上荒らし・車上ねらいは、駐停車していた車の車内に置いたままの荷物や鞄が盗まれる犯罪のことです。車上荒らし・車上ねらいについては、少しだけ車から離れた隙に被害に遭ってしまった人もいるようです。
車を所持していて出てくる不安は事故だけでなく、このような犯罪もあるのです。車を所持するにあたり、対策を取っておくことで被害に合う可能性を低くすることはできます。こちらで解説します。

車上荒らしに遭いやすいもの・場所
車上荒らしとは、自動車に関する盗難犯罪の一つです。警察庁の窃盗罪の分類では車上ねらいと表記されています。車上荒らし・車上ねらいは、車の積み荷や車内にある金品の窃盗だけでなく、停めている自転車のカゴから荷物が盗まれることも含みます。21の保険会社が行った調査で、車上ねらい(部品盗難を含む)で保険金を支払った事案数は、2024年の1年間で720件となっていました。盗難発生時間帯をみると、深夜から朝が55.6%、日中が28.8%を占めています。
車上荒らしに遭いやすいものとは
車上荒らしのターゲットになりやすいものは、単価の高いカーナビやブランド物のバッグなどです。鞄そのものブランド品でなくても、中に財布やその他のお金になりそうなものが入っている可能性があるため、駐車中の車内に鞄を置いておくと狙われる可能性が高くなります。中には小銭やCDなどのために車上荒らしを行う窃盗犯もいます。「高級品を置いていないから大丈夫」というわけではありません。
また、盗まれたものの被害額が低くとも、車上荒らしのためにドアの鍵や窓ガラスを破壊される場合があり、結果的に数万円以上の損害を受けることになります。車上荒らしというと「車内にあるお金になる物が盗まれる」というイメージがありますが、ホイール・タイヤ・サスペンションやエアロパーツなど、車のパーツそのものが盗られてしまうケースもあります。
車上荒らしに遭いやすい場所
車上荒らしに遭いやすい場所については、コインパーキングや月極駐車場などの多数の車がある場所、人目につきにくい場所などがあげられます。
複数の車が駐車されている月極駐車場では、車ごとの所有者が誰なのか周囲には、わかり辛くなります。車上荒らしを考えている犯人が犯行する車を吟味し、セキュリティ意識が甘く盗みやすい車を探して車両に近寄っていても、違和感を覚える人があまりいません。また、そのまま犯罪行為が行われていても周囲に怪しまれづらい環境でもあります。
逆に自宅の駐車場などは比較的安全と言えますが、外出時にどこかの駐車場に停める機会があるはずなので、「うちの車は大丈夫」というように軽く考えない方がよいでしょう。
車上荒らしに遭わないための対策は

車上荒らし・車上ねらいは、所有者が車を離れた一瞬の隙に狙われる可能性があります。車上荒らしに遭わないために、前もってとれる対策とは何があるのでしょうか。
荷物や貴重品を車内の見える所に置かない
荷物・貴重品を車内の見えるところに放置するのは、犯人に対して餌を置いているようなものです。貴重品だけでなく、車内の荷物は見えない場所に収納(セダンであればトランク・ダッシュボード・コンソールボックス)するか、できれば持ち出しましょう。被害に遭いにくくすると共に、被害にあってしまった際の被害を減らすことにも繋がります。
後付型のカーナビは面倒ですが、長時間の駐車の際には本体を取り外して持ち出すのが理想的です。ダッシュボード内臓型のカーナビは外せないのでカバーなどをかけると窃盗犯が目星をつけられなくなるので有効です。
短時間でも必ず窓は締め切ってドアロック
コンビニで数分だけの買い物だから、店の窓から車内が見えるから大丈夫と思って、鍵を開けたままの人がたまにいますが絶対にいけません。ドアのカギを開けたままでは、商品を手に取ったりレジに並ぶほんの数秒で車内のものを盗むことができてしまいます。
車上荒らしの被害の過半数は、無施錠が原因によるものです。無施錠だけでなく、キーを挿したままにすると最悪の場合、自動車盗難にも繋がります。(自動車盗難被害のおよそ25%がキーを挿したままの車です)
駐車場選びのポイントは明るい・人目につく場所
人目につく場所よりも目立たない場所の方が、総合的にみて被害に遭う可能性は高くなっています。
某駐車場で車上荒らしが一晩に同時発生した時も、街灯付近の車のみ難を逃れたという話があります。人目につかないということは、窃盗犯からすれば「いつ車上荒らしをしていてもバレにくいから安心」と考えます。
セキュリティシステムのオプションを取り付ける
自動車の振動や、ドアの開閉、車の傾きなどを感知して、異常があった際に光と音で警告する車のセキュリティ用品が市販でも販売されています。窃盗犯は目立つことを何より恐れるため、これは車上荒らしを未然に防ぐうえで非常に効果的です。
また、セキュリティが作動せずとも付けていることを見せるだけで車上荒らしに対する威嚇にもなります。商品にもよりますが、およそ10,000円から購入可能です。本格的なセキュリティシステムの場合は十数万の商品代に加え、工賃が必要になりますが、高級車や狙われやすいトヨタ車などの場合、購入時点で取り付けている方も多くいます。
セキュリティグッズの中には光っているだけでアラーム機能のないダミー商品もありますが、知識ある窃盗犯はダミー商品も知っているのであまり安心できません。セキュリティグッズに知見のない人の場当たり的な犯行を抑止する可能性はありますが、ダミーグッズは安いだけに効果はあまり期待できないと考えるべきです。
カメラ・ドライブレコーダーを取り付ける
車の購入時や購入してから後付けが可能なドライブレコーダーなど、録画機能があるカメラの設置も犯行を抑制する効果があります。近年はセキュリティグッズやシステムと連携しているドライブレコーダーも多く、センサーが検知して録画を開始したり、車の所有者に知らせる機能がついているものもあります。また、犯人を特定するためにも設置しておくと良いでしょう。
ボディカバーをかける
自宅外の駐車場等に車を置いている場合は、ボディカバーをかけておくことで剥がす作業が必要になる分、犯行に対する心理的なハードルが高くなります。車上ねらいだけでなく、車へのイタズラ防止目的にもなりますし、駐車場に屋根がない場合などは雨除けや塗装面にダメージを与える紫外線対策にもなります。
車上荒らしに遭ってしまったときの対応

車上荒らしに遭ってしまった場合、頭が真っ白になると思いますが、まずは警察に通報しましょう。
周辺の監視カメラやドライブレコーダー等の車載カメラによる録画映像があれば、目撃者がいない場合でも犯人の特定につながるかもしれません。設置がなかったとしても、犯人が見つかる可能性も考えて通報は必ずしましょう。
車のドアロックは窓が破壊されてしまったら
ドアを無理やり開けるために、ドアロックは窓を破壊されていた場合は修理が必要になります。任意保険のうち車両保険の契約をしていた場合は、保険会社にも連絡して、保険金を受取るための準備を進めましょう。なお、修理代金によっては、保険金を受け取らず修理代を自己負担した方が後々の保険料を考えると安くなるケースもあります。修理費用の見積もりを取る時は、保険を使用しない前提で聞いてみましょう(保険を前提にすると高い見積もりになることがあります)。
車に傷を付けられてしまったら
車上荒らしに狙われて車に傷を付けられてしまった場合、小さな傷でも板金塗装で修理をしてもらうと結構な費用がかかってしまいます。小さな傷程度であれば、傷消し製品を購入して自分で直す方が経済的には良いかもしれません。以下のような修理用品が市販されています。
修理用部品の名称 | 修理の方法 |
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スクラッチリペアペン (スクラッチリペアスティック) | ボディ表面の一番上層には透明な塗膜があり、それが剥がれるだけでも傷として見えます。スクラッチリペアペンはその透明な層を塗り直すものです。傷消しグッズの中では一番簡素なものですが、小傷であればこれだけで目立たなくできます。 |
コンパウンド | 研磨剤の一種です。非常に目の細かいヤスリのようなもので、傷をならして目立ちにくくします。爪が引っかからない程度の深さの傷であれば、コンパウンドだけで傷を目立たなくできると思います。擦った対象の塗料が付いてしまっている場合も、コンパウンドで削り取れます。 ただし、ボディ表面のコーティング類も一緒に削れますので、コンパウンドで擦ったところはワックスやガラスコーティングをやり直しましょう。 |
タッチアップペン | ボディカラーと同一色のペンで再塗装します。ボディ表面の汚れ・油分などを綺麗にして、ササクレがある場合はコンパウンドで取り除いてから、傷を埋めるように塗ってください。 タッチアップペイント後にもコンパウンドを使用し表面をなめらかにしてから、ワックスやガラスコーティングをかけると良いでしょう。 |
スプレー | ボディカラーと同一色のスプレーで再塗装します。ボディ表面の汚れ・油分などを綺麗にして、ササクレがある場合はコンパウンドで取り除いてから、傷を埋めるように塗ってください。 最後にコンパウンドで表面をなめらかにして、ワックスやガラスコーティングをかけましょう。 |
まとめ
車上荒らしによって車が破壊されたり、カーナビなどの車のパーツそのものが盗難被害にあった際は、任意保険の補償対象となりますが、利用すれば翌年の等級が下がって保険料が上昇してしまいますし、車内に置いた身の回りのものは車両保険では補償対象外のため、監視カメラなどの設置がなければ、被害後の多くは泣き寝入りとなってしまいます。
普段から車上荒らしへの対策を行い、少しでも被害に合う可能性を低くしましょう!基本的な対策として、少し車を離れるだけでもロックする、窓はすべて閉める、車内の見えるところに荷物を置いておかないことだけは必ず守るようにしましょう。