軽自動車の安全性は?安全性能の高い軽自動車ランキング

交通事故

運転中に交通事故に遭ったとき、軽自動車の安全性能はどのくらい高いのでしょうか。普通自動車と比べると安全性能に差はあるのでしょうか。

こちらでは、軽自動車の衝突安全性能や、交通事故の予防安全性能について詳しく解説します。

軽自動車は普通車に比べて危険なの?

衝突事故のモチーフ

結論から言えば、普通自動車の方が乗員の安全性は高いと言えます。なぜそうなるかと言うと、軽自動車という呼び方の通り、普通自動車に比べて車重が軽いことが理由です。

軽自動車は規格により平均車重が軽い

軽自動車は、税金などの維持費面でも優遇されることから人気があります。軽自動車規格は法律によって定められており、規定のサイズ内(全長3.40m以下・全幅1.48m以下・全高2.00m以下)であること、排気量660cc以下であること、定員4名以下であること、貨物積載量350kg以下であることを全て満たしていなければ販売することができません。軽自動車は規定に収まるボディサイズで製造されるため、普通自動車に比べると車両重量は軽くなることがほとんどです。例えば現行モデルのダイハツ・ミライース2WDのLグレードは車両重量650kgですし、スズキ・ラパン2WDのXグレードは680kgと軽量です。令和2年に統計が出された車両重量の中間平均値も、軽乗用車は866kg、普通・小型乗用車は1,506kgとなっていました。

ただ、軽自動車であっても車両重量が重いモデルも、近年は登場しています。例えば、軽電気自動車で話題となっている日産・サクラのXグレードは、1070kgと車両重は1tを超えていて、コンパクトカーとあまり変わりがありません。法によって車両重量まで決められているわけではありませんので、絶対的に軽いとは言い切れないのです。しかし、平均値をみると車両重量が普通自動車よりも軽いということは間違いないでしょう。

そして車両重量が軽いということは、同時にクラッシャブルゾーンも普通車に比べると確保するのが難しい、という問題があります。重いものに対して軽いものを衝突させれば、軽いものの方がより大きなダメージを受けます。極端な例であれば、人と車が徐行ではないような速度で衝突した場合は、車はバンパーのヘコミで済むとしても人は無事ではすみません。それと同じように、車同士でも重い車と軽い車が衝突すれば、軽い車の方がよりダメージを受けるということになります。

クラッシャブルゾーン(衝撃吸収ボディ)とは
衝突などの衝撃を受けた時、つぶれながら衝突のエネルギーを吸収し、乗員への衝撃を緩和するための部分です。普通乗用車のセダンでいうと、フロントグリルからキャビンまでとトランクからキャビンまでの前後部分で、前方と後方から衝撃を受けた時にクラッシャブルゾーンが衝突エネルギーを吸収し、乗員がいるキャビンへの影響を最小限に抑える役割を持っています。

軽自動車の安全性は近年向上している

前述のとおり、軽自動車はボディサイズの設計上クラッシャブルゾーンの確保が難しく、物理的に考えると普通自動車と比べて安全性能は低いと考えられています。

しかし、近年は自動車製造技術が高くなったことで、予防安全性能や衝突安全性能などの軽自動車の安全性能も向上しています。新車販売された一部の車種に対し、国土交通省とNASVA(自動車事故対策機構)が行っている自動車の安全性能試験(JNCAPの自動車アセスメント)においても、2020年、2021年、2022年と試験を受けた軽自動車は、各自高い安全性能評価の結果を出していました。

JNCAP(Japan New Car Assesment Programam)とは
国産メーカーの新車に対し、自動車安全性能試験を行って衝突安全性能と予防安全性能等の評価を付けます。この自動車アセスメントによる自動車安全性能評価は、車を購入しようと考えるユーザーが、より安全な自動車を選ぶことができるように、結果が公表されています。安全性能評価は5段階で、★の数が多いほど総合的な安全性能が高いという評価結果になります。5つ星を獲得した車種はファイブスターといわれます。自動車安全性能2022の最高評価は、予防安全性能と衝突安全性能が最高評価のAランクであり、さらに事故自動緊急通報装置を備えていなければ獲得することができません。

軽自動車に乗り換えるメリット

安全性の高い軽自動車

近年の軽自動車は万が一に備えた安全性能も高くなっていることから、車を買い換える時に、普通車から軽自動車へと乗り換えを考える方も増えています。こちらでは、軽自動車に乗り換えるメリットについて解説します。

軽自動車は日本の道路環境にマッチしている

軽自動車を選ぶ理由というのは、普通車に比べて維持費が安くなるという所もありますが、それだけでなく扱いやすく小回りがきき、狭い道が多く駐車スペースも狭い日本の道路環境にマッチしているという部分も大きいのです。一般的に市街地では幅4mの道路が多くなっています。4m幅というと、なんとかすれ違いできる程度の幅員となり、電柱やその他の障害物、道路に沿ったコンクリートブロック塀などが設置されているとさらに狭くなるため、すれ違う際にも危険が生じます。軽自動車であれば、小回りが利くことや車幅を掴みやすいなどの理由もあり、経済性や利便性、地域の道路環境にあった車といえるでしょう。2022年上期の新車販売台数ランキングをみても、軽自動車販売台数一位を獲得したホンダN-BOXは8万6,876台、普通乗用車一位を獲得したトヨタヤリスは8万4,251台となっており、実は軽自動車と普通乗用車を合わせたランキングでも、軽自動車の車種が新車販売台数一位を獲得するほどに国内需要が高いことがわかります

軽自動車とコンパクトカーを比較

普通車のコンパクトカーならば軽自動車よりもさらに安全性能が高く、小回りもきくから良いのではないかと考える人もいるかと思いますが、コンパクトカーの車重はおよそ1,000kg前後で、軽自動車はだいたい700kg程度となっており、軽自動車とコンパクトカー程度の重量差はあまり意味がないといえます。衝突安全性面や予防安全性能については、最新モデルの軽自動車とコンパクトカーに大きな差を感じることはありません。軽自動車とコンパクトカーを比べると、自動車税などの必要な費用を抑えての維持費面で考えれば、軽自動車を所有することにしても、決して損ではないでしょう。

軽自動車の軽さはメリットもある

また車が軽いというのはデメリットばかりではありません。車重が増加すれば燃費の悪化に繋がりますし、「バイク」「自転車」「歩行者」といった対象との衝突事故になった際には、車が軽い方が相手のダメージが少なくなるのです。SUVでの人身事故による重傷率・死亡率は、一般的な乗用車の4倍になるというデータもあります。自分や同乗者の身を守ることは間違いなく重要なことではありますが、衝突した相手のことも考えると「丈夫で重い方が絶対に良い」とは言えません。

そして近年は軽自動車でも安全性に力を入れてきており、車線逸脱防止支援システムや衝突回避支援システムなどの事故を未然に防ぐ工夫だけでなく、衝突時の安全性も改善して、普通車と同等の衝突安全性があると評価されている車種も存在します。次項では自動車安全性能が高い最新の軽自動車の車種をご紹介します。

軽自動車の中で安全性が高い車種は?

悩む女性

具体的に「軽自動車の中で安全性が高い車種は何なのか」という所が気になると思いますので、自動車事故対策機構(NASVA)が発表している自動車安全性能試験の評価点をもとに、安全性の高い車種を紹介します。

軽自動車の安全性能ランキング!

2020年度から2022年度までに新車発売された軽自動車から、自動車アセスメント試験の評価に基づいた自動車安全性能ランキングをご紹介します。

順位メーカー/車種総合評価衝突安全予防安全
1日産/ルークス・ルークスハイウェイスター★★★★★ 92%A 86%A 80%
2日産/デイズ・デイズハイウェイスター★★★★★ 92%A 88%A 96%
3ダイハツ/タフト★★★★☆ 85%B 83%A 95%
4ホンダ/N-ONE★★★★☆ 80%B 76%A 93%
5ダイハツ/ハイゼットカーゴ★★★★☆ 77%B 76%A 86%
6スズキ/ハスラー★★★★☆ 77%B 77%B 84%
7スズキ/ワゴンRスマイル★★★★☆ 74%B 75%B 79%
8スズキ/アルト★★★★☆ 74%B 77%B 77%
9スズキ/アルトラパン★★★★☆ 74%B 77%B 77%

自動車安全性能高評価の車種を解説

上記の安全性能ランキングでも上位となっている、自動車安全性能評価の高い軽自動車3車種をご紹介します。

ダイハツ・タフト 総合評価(★★★★☆)85%

ダイハツ・タフトは、ダイハツの予防安全機能であるスマアシを搭載しています。スマアシの予防安全性能技術は、全車速追従機能付ACC(アダプティブクルーズコントロール)、レーンキープコントロール(車線逸脱防止)、ふらつき防止警報などがあります。また、衝突回避支援ブレーキ機能により、事前ブレーキが作動している時にブレーキアシストが効くことで制動力を高めることができます。また、前方に歩行者があり、衝突が避けられないとシステムが判断すると、強いブレーキが働き減速します。

また、万が一衝突事故に遭ってしまった時も、高い衝突安全性能をもつTAF(Total Advanced Function)ボディを採用したことで、衝突時の衝撃エネルギーをフロントサイドメンバーが高効率で吸収することができる構造となっています。

日産 デイズ・デイズハイウェイスター 総合評価(★★★★★)92%

日産 デイズ・デイズハイウェイスターは、自動車安全性能2020において、軽自動車として初めて最高評価ファイブスター賞を獲得しました。グレード別設定にはなるものの、軽自動車では初めてのプロパイロットを採用し、予防安全技術の一つである車間距離のキープと車線中央のキープをシステムがアシストします。

また、高強度安全ボディ(ゾーンボディ)によって、万が一衝突事故に遭ってしまった時も、堅固なキャビンと高強度フレーム構造により、キャビン内の乗員への衝撃を緩和するつくりとなっています。

日産 ルークス/ルークスハイウェイスター 総合評価(★★★★★)92%

日産 ルークス・ルークスハイウェイスターは、デイズに続いて自動車安全性能ファイブスター賞を獲得しています。

最新の予防安全技術の一つであるインテリジェントFCW(前方衝突予測警報)により、前方車両の一台前の車までセンサーにより車両の急減速を検知し、渋滞時や信号機手前停止時に発生することの多い玉突き事故の防止をアシストします。

車体には7つのエアバッグシステムが搭載されていて、運転席のSRSニーエアバッグシステムは、事故の際にドライバーの脚部を受け止めて下肢の傷害を軽減し、事故の際も姿勢を維持することができるように設置されています。万が一事故に遭ってしまったとしても、ドライバーの保護効果を高める装備として、7つのエアバッグシステムが装備されています。

まとめ

軽自動車は物理的な面でいうと、普通車と比べて衝突安全性では劣る部分もあるでしょう。しかし、予防安全性能や衝突安全性能などの技術が向上していることで、事故を未然に防ぐことや、大きな傷害を軽減するための装備やシステムが日々開発されています

国内での車両販売の約4割を軽自動車が占めているように、軽自動車需要は高まっているため、買換えを検討する方も多いでしょう。車をどんな風に利用し、どんな環境(道路状況)で使用することになるのか。軽自動車に乗り換えたときの維持費、利便性など、総合的に考えて普通自動車か軽自動車かご検討ください。

また、「重量がある車だから安心・安全・大丈夫」「衝突安全性能が高いから大丈夫」と考えていては事故を引き起こしかねません。軽自動車の重量や安全性能よりも重要なのは事故を起こさない・巻き込まれないように気をつけて安全運転をする心構えです。運転をする時は、まずは安全運転を心がけましょう。

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