後付けできる先進安全装置の3種類を解説!安全装置は事故率に影響するの?

交通事故

令和5年度の「ASV(先進安全自動車)の理解度や運転に対する意識調査」で、自家用車に衝突被害軽減ブレーキを搭載している人は全体の1/3に拡大していて、安全装置の普及の進み具合がわかる結果となっています。このように、普及が進む先進安全装置ですが、元々搭載されていない車に乗っている方も多いでしょう。

先進安全装置がついている車がいいと思うものの、費用負担等を考えると車の買換えは厳しく思いとどまる人も少なくありません。費用負担を抑えて先進安全装置を車に取り付けるのであれば、今持っている車に装置を後付けする方法があります。

こちらでは、安全装置をつけることで車の事故発生率に影響はあるのか、後付けできる先進安全装置の種類など詳しく解説します。

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車の先進安全装置は何のために必要か

車の先進安全装置とは、交通事故の発生を未然に防ぎ、事故による被害を最小限に抑えるための装置です。

交通事故が起こると運転者や同乗者だけでなく、車と接触した人や車も大きな被害を受ける可能性があります。その被害を最小限に抑えるために、安全装置の取付けが重要になっています。

先進安全装置の義務化

道路運送車両の保安基準の細目を定める告示等が一部改正され、自動車の安全基準等に国際基準を導入することが決定しました。そのため、先進安全装置のなかでも「衝突被害軽減ブレーキ」の搭載が、2021年11月から販売される国産新型車、2026年7月からの継続生産車に対して義務化することを決定しました。

ただし義務化の対象となる車は、2021年11月以降の新型車、または制度変更以降に生産された車の継続生産車のみとなっています。対象外となる車に付いては、メーカーによっては先進安全装置が搭載されていない車も多くなります。

安全装置は事故の発生率に影響があるのか

先進安全装置装着車の安全性が高くなることはわかりますが、装着車の事故発生率に実際に影響はあったのでしょうか。

実は、先進安全装置の「衝突被害軽減ブレーキ」装着車の追突事故発生率については、平成28年の国土交通省中部運輸局からの発表で、事故削減効果があったと認められています。内容は衝突被害軽減ブレーキ「装着車」と「非装着車」の追突事故発生率の比較となっていて、装着車が非装着車の追突事故発生率の1/3まで減少したことがわかっています。また装着車が衝突事故を起こしてしまった時にも、衝突被害軽減ブレーキ装着車は衝突前に相当程度の減速ができていたため、被害を抑えることに有効だったという結果が出ています。

後付けできる先進安全装置について

前述の通り、先進安全装置をつけることで事故発生率を抑制したという結果もあり、今後車の運転をする上でも安全装置が求められることを解説しました。しかし、先進安全装置搭載車に買換えたいと思っても、新型車を購入するには高額な購入費用がかかります。新車だけでなく中古車での流通も増えてはいますが、中古車市場でもまだまだ価格帯としては高額な車両が多く、なかなか購入までは決断しづらい方も多いでしょう。

このように、買換えは難しくても先進安全装置を搭載した車に乗りたいという方にお勧めの方法として、すでに所有している車に先進安全装置を後付け搭載するという方法があります。こちらでは、3つの種類に分類して後付け可能な先進安全装置について解説します。

障害物検知機能付きペダル踏み間違い急発進等抑制装置

まず一つ目が「障害物検知機能付きペダル踏み間違い急発進等抑制装置」です。「障害物検知機能付きペダル踏み間違い急発進等抑制装置」は、運転者がペダルを強く踏み込んだと検知した時、エンジン出力を抑制し急発進しないようにする装置となっています。ペダルを踏み間違えてアクセルをブレーキの感覚で強く踏み込んだことにより、車が急発進してしまうことを抑制する機能です。

さらに、車の前方部分には障害物を検知するためのセンサーが取り付けられているため、センサーが検知すると車内のモニターやメーター表示部分、ブザー音等で運転者に警告する(知らせる)機能が付いています。このセンサーで障害物を検知した時の機能は警告機能だけでなく、同状態で運転者がペダルを強く踏み込んだと検知した時は、エンジン出力を抑えて急発進しないようにする抑制機能もついています。

基本的に「障害物検知機能付きペダル踏み間違い急発進等抑制装置」は、メーカーが自社の車種に合わせて後付けオプションとして販売を行っているため、機能や名称はメーカーごとに異なります。

ペダル踏み間違い急発進抑制装置

二つ目が「ペダル踏み間違い急発進抑制装置」です。「ペダル踏み間違い急発進抑制装置」は、障害物を検知する機能はついていませんが、ペダルの踏み間違いを検知した時に急発進を抑制する装置となっています。

ペダル踏み間違い急発進抑制装置は、車が停止中や前方または後方へ時速10km未満で走行している時に、誤ってペダルを強く踏み込むと、警告音が鳴って運転者に危険を知らせます。また、アクセルの感度設定変更ができる装置にもなっていて、感度を弱いレベルに設定することで、アクセルを強く踏み込んでも急発進や急加速にならず、緩やかな発進になるよう変更することが可能です。ブレーキ制御はできないものの、衝突時の被害を抑えることにつながる装置となっています。

ペダル踏み間違い急発進抑制装置は、部品メーカーやカー用品店が製造販売しており、メーカーを問わず様々な車種に対応しています。取り付けもカー用品店の点検整備工場等に依頼ができるため、後付けの安全装置搭載を考えている方は相談や検討がしやすいでしょう。

ペダル踏み間違い防止装置

三つ目が「ペダル踏み間違い防止装置」です。ペダル踏み間違い防止装置には、障害物検知やペダルの踏み間違い検知時の急発進抑制機能などはついていません。

現行後付けができる安全装置で「ペダル踏み間違い防止装置」として販売されているのは、「ペダルが一つ」で「アクセルとブレーキが一体化」した「ワンペダル」という装置です。ワンペダルは、名称の通り踏み込むペダルが一つしかなく、アクセルとブレーキを踏み間違えることがありません。ワンペダルを踏み込むとブレーキがかかり、アクセルはブレーキペダル横に設置されたレバーとなっていて、足を横にずらしてレバーを押すことでアクセルに切り替わります。

車の運転者がペダルを踏み間違えてしまい、焦りからブレーキペダルと思い込んでアクセルを強く踏みこんで急発進し、壁や障害物に衝突するといった事故も起こっています。ワンペダルのみになることで、間違えてアクセルを踏みこんで起こる事故を防ぐことができる装置となっています。

先進安全技術でドライバーの安全運転をサポートする車(サポカー)について
近年、高齢運転者のペダル踏み間違いによる交通事故が増加していることから、高齢運転者へサポカーへの乗り換えが推奨されています。平成29年度の警察庁資料によると、75歳以上の原付以上運転者の人的要因別死亡事故件数において、要因が操作不適によるものは全体の31%となっており、この内、ハンドル操作不適は18%、ブレーキとアクセルの踏み間違いは6.2%を占める結果となっていました。75歳未満の運転者の操作不適は16%となっていたことから、安全運転をサポートする車(サポカー)への乗り換えが推奨されています。サポカー

後付けすることが出来ない安全装置

後付けすることができる安全装置について前項でご紹介しました。では後付けができないため、車の購入時に搭載の有無を確認しておくべき先進安全装置には、どのような種類があるのでしょうか。

衝突被害軽減ブレーキ

衝突被害軽減ブレーキは、前方の障害物を検知してアラームを鳴らしてドライバーに知らせたり、自動でブレーキをかけることで衝突を防止し、衝突したときの被害を軽減する機能となっています。各自動車メーカー毎に自動ブレーキ機能は開発が進められていますが、各々検知の性能に違いがあります。センサーが検知するものが、他の車両に対してだけなのか、歩行者や自転車を感知できるのか、また昼だけでなく夕方や夜などの暗い場面でも検知が可能かどうかなど、メーカーや車種によって異なります。

車線逸脱防止装置

車線逸脱とは、走行す車線から車体がはみだして走行をしないようにするための装置で、二つの機能が組み合わさっています。まず一つ目は、車線から逸脱しそうな時やハンドル操作がふらついているときに運転者に音や画面表示で警告する機能です。二つ目は、車線が逸脱しそうになっている時に、ハンドルをシステムが自動操縦し、車体を車線内へ戻るようにする機能となります。

車線逸脱防止装置は、ハンドル操作ミスによる人的要因の事故や、ウインカーを出し忘れて車線変更をすることによって起こる後続車や対向車との接触事故を未然に防ぎます。また、ハンドル操作のふらつきを検知して警告することで、運転者の居眠り運転や注意力が散漫になり、運転に集中ができていない時など、休む判断を取るように促す安全装備ともなっています。

ライト制御装置

車のライト制御装置とは、車のフロント部分に取り付けられているセンサーカメラで周囲の明るさを認識し、ハイビームとロービームを自動で制御する機能です。

ライト制御装置は、運転中のドライバーの視界を良好に保つだけでなく、対向車両の目くらましにならないようにすることで事故を防ぎます。また、トンネル内の走行中ライトの点灯後の消し忘れも防止することができます。

運転は同時に様々な判断が必要となり、高齢運転者にとっては判断の注意力や速度が落ちてしまうことが事故の原因にもなります。ライトを自動制御することで、ライトの操作に気を遣う必要が減るため、より運転に集中することが可能になるサポート機能となっています。

駐車時の運転支援サポート機能

駐車時の運転を支援するサポート機能は、バックカメラを搭載し、バック駐車時に見えないスペースがフロントモニターに映し出される機能や、後方センサーによって後方の壁や障害物を検知し、衝突の危険があれば知らせてくれる機能があります。また、トヨタの高度駐車支援システムのように、駐車したいスペースを設定するとステアリング操作やアクセル・ブレーキ操作はアシストされ、運転者はシフト操作のみを行うといった駐車支援機能もあります。

高速道路での車間距離制御装置

高速道路での運転時、長距離運転や渋滞中の運転をアシストする機能として、車間距離制御装置があります。車間距離制御装置は、レーダーやセンサーカメラによって前方後方の車両を検知し、車間距離を維持する速度で走行するようにアシストする機能です。また、自動で前の車を追従する機能もあり、車線逸脱を防止しながら、安全な車間距離をとって運転に集中することができるようになっています。

まとめ

こちらの記事では、安全装置を搭載することで車の事故発生率に影響はあるのか、さらに車の先進安全装置で後付けをするならどんな装置があるのか、詳しく解説しました。

車の運転をするにあたって、安全装置は運転者だけでなく、同乗者や周りの歩行者、他の車両の運転者等の交通安全のためにも必要な装置となっています。現在乗っている車の安全装置に心もとないと感じている方、どんな装置が搭載されているか機能をわかっていないという方もいるかもしれません。安全性能をさらに高めたいという場合は、買換える方法だけでなく後付けの安全装置を付けるという方法もあります。こちらで紹介したような後付け可能な安全装置であれば、カー用品店等で相談することも可能ですので、一度検討されてみてはいかがでしょうか。

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